赤ちゃんは「触覚」をほぼ完成させて生まれてくる

「妊娠一八週ぐらいの胎児が、すでに指しゃぶりをしていることは数々の画像などからも確認されています。これは自分の体に触れることにより、その感覚で自分の体を知るための行為です。

また、お子さんが胎内にいるとき、お腹をなでると赤ちゃんが反応して手足を突っ張ったり、くるりと動いたりした経験がある方も多いと思います。これはお腹への刺激に赤ちゃんが反応しているからで、触覚が育っている証です。

五感の中で最初に発達するだけあって、赤ちゃんは「触覚」をほぼ完成させた状態で、この世に生まれてきます。

・・・中略・・・

人間の赤ちゃんも、生まれ落ちた瞬間から、ほっぺに触るとそれを感じて、そちらの方に口を向ける仕草をします。これはお母さんのおっぱいを探すために本能的に備わっている反射です。口に指を入れると吸い付き、飲み込もうとするのも母乳を飲むために必要な反射です。

未熟な状態で生まれてくる赤ちゃんにとって、触覚は命をつなぐために重要な感覚なのですね。だからこそ、ほぼ完成された状態で生まれ出てくるのです。

触覚をほぼ完成させて生まれてくる赤ちゃんたち、さすがですね。
体は、生き抜くために必要な感覚から育っていくことがわかります。

また、山口先生はこうも述べておられます。

「さらにおもしろいのは、人間が衰えていく際、発達の順番と逆の順で五感が衰えていく点です。

最初に衰えるのが目、すなわち視覚です。老眼は早ければ四〇代から起こります。やがて耳が遠くなり、においに鈍感になっていき、味を感じる感覚も鈍くなっていきます。そして最後まで残るのが触覚=皮膚感覚です。

つまり人間の誕生と生命の終わりといった、一生の中でも非常に大切な瞬間に機能しているのが皮膚感覚というわけなのです。」

人間の発達は、理に適っているんですね。

ですが、中には予定より早く、小さく生まれてくる赤ちゃんがいます。
小さく生まれた赤ちゃんの中には、NICUという赤ちゃんのための集中治療室で一生懸命息をしている子もいます。
そんな時、親子の関わり合いや触れ合いは小さく生まれた赤ちゃんの成長を助けます。
どんなに小さく生まれた赤ちゃんでも、皮膚や触覚はあり、触れ合うことから愛情を感じることができます。

NICUの赤ちゃんのためのタッチセラピー指導者養成講座では、小さく生まれた赤ちゃんたちのためにできるタッチケアについて学ぶことができます。
どんな状況にあっても、人間が本来持つ自然治癒力をタッチケアを通して培うことができます。

「幸せになる脳は抱っこで育つ。(山口創著)」を参考・引用

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