― その行動の奥にある発達のプロセス ―
服を着ない。
止めると怒る。
そして、叩きにくる。
その姿を見ると、胸がざわっとしますよね。
「わがままに育てているのかな」
「叩く子になってほしくない」
ちゃんと育てたいからこそ、苦しくなる瞬間です。
でも今日は、少しだけ視点を変えてみましょう。

乳幼児の脳は、感情が先に動きます
乳幼児期の脳は、
感情を生み出す情動系の働きが先に活発になります。
一方で、
その感情を抑えたり整理したりする前頭前野は、まだ発達の途中。
つまり、
感情がそのまま行動になりやすい時期なのです。

怒りが湧いたとき、
それを内側で整理する力はまだ十分ではありません。
だから、叩くという形で外に出てしまう。
これは未熟さというより、
神経発達の段階にある自然な反応です。
「叩く」は自己表現の芽
「ぼくはこうしたい」
「嫌だった」
「止めないでほしかった」
言葉ではうまく言えない思いを、
体で伝えていることがあります。
これは“自我の芽生え”。
自分と相手が違う存在だと気づき、
自分の意思を持ち始める大切な時期です。
強く出るからこそ、
そこに「自分」が立ち上がっている証でもあります。

感情は“外で整う”
子どもはまだ、ひとりで感情を調整できません。
出す
受け止められる
落ち着く
この繰り返しの中で、
少しずつ情動調整の回路が育っていきます。
心理学ではこれを「共調(co-regulation)」と呼びます。
大人の落ち着きが、
子どもの神経系を落ち着かせるのです。

叩きにいくのは、安心しているから
少し意外かもしれませんが、
子どもは
安全だと感じている相手にしか本気を出しません。
叩きにいく行動は、
「ここまで出しても大丈夫?」
という関係の確認でもあります。
安心できるからこそ、
感情をそのまま出せる。
それは、関係の土台がある証でもあるのです。
境界は、ぶつかりながら育つ
もちろん、叩くことをそのまま許すわけではありません。
危険は止める。
でも、人格までは否定しない。
「叩かないよ」
「怒ったんだね」
止める経験と、受け止められる経験。
その両方を重ねながら、
・自分と相手の違い
・やっていいことといけないこと
・感情の扱い方
が育っていきます。
境界感覚は、ぶつかりの中で形成されます。

親も、育てながら育っている
完璧な対応をしようとすると、
かえって苦しくなります。
大切なのは、
関係が続いていくこと。
怒りの奥には、
つながりへの欲求があります。
その瞬間も、発達は進んでいます。
ぶつかりながら、
親子の関係は少しずつ強くなっていきます。
まとめ
怒って叩きにいくのは、
単なる反抗ではありません。

✔ 情動系が先に働く発達段階
✔ 自我の芽生え
✔ 共調を通した感情調整の学習
✔ 境界形成のプロセス
そのすべてが重なって起きています。
知ることで、
関わりは少しやわらかくなります。
行動の奥には「育ちの種」がある
怒って叩きにいく姿も、
実は発達のひとつの“芽”。
子どもの育ちは、
困った行動の中にも種が隠れています。
その種がどう育ち、
どんな環境で伸びていくのか。
発達全体の流れについては、
こちらの記事で詳しく書いています。
読み終わったらこちらのクイズも挑戦してみて
👉 育ちの芽クイズ
行動の意味を知ることは、
育ちの全体像を知る入り口でもあります。


