
桜のつぼみがふくらみ、新しい季節の訪れを感じる頃になりました。
私は5年ぶりに、Nちゃんのお宅を訪問しました。

初めてNちゃんに出会ったのは、彼女がまだ生後4ヶ月の頃。

その日も私はこの桜を眺めていたことを思い出します。
長い入院生活を経て退院したばかりで、不安を抱えた状態から始まったタッチケアのレッスンでした。
あれから12年。
目の前にいるNちゃんは、この春から中学生。
Nちゃんはずいぶんと背が伸び、お姉さんらしい表情になっていました。
「ただ、触れる」という時間が育てたもの
赤ちゃんの頃、私たちはただただ、目の前にいるNちゃんのからだを感じ、
ママの手をそっと置き、ゆっくりと撫でる時間を過ごしてきました。
気持ちよさそうな顔、ふたりで笑い合った声、そしてケアの後に訪れる、すやすやとした深い眠り……。
ママがこんなお話をしてくださいました。
「時々体調を崩して入院することもあったけれど、ここまで元気に育ってくれた。それは、赤ちゃんの頃にタッチケアをしていたからだと思うんです」
ママが実感されている「タッチケアのちから」は・・・本質的で具体的なものでした。
• 皮膚は自分を守ってくれるもの
• 皮膚がのびやかになると、その中にある体ものびやかになる
• 体が動きやすくなり、関節の強張り(拘縮)も和らぐ
• 着替えなどの日常の動作もスムーズになる
「皮膚」という、体の一番外側にある境界線を大切に育むことが、結果としてNちゃんの健やかな成長を支えていたのです。
そして何より感じたのは
目の前にいる我が子をゆっくりと感じる時間だったこと。
リハビリとは違う、タッチケアの「温もり」
タッチケアは、決して「早く首を座らせるため」や「歩けるようにするため」のトレーニングではありません。
もちろん、皮膚への心地よい刺激や温もりは、発達に欠かせない要素です。
けれど、タッチケアがもたらすものは、数値や目に見える成果だけではない「何か」だと、私は感じています。
久しぶりに、大きくなったNちゃんにオイルでゆっくり触れていきました。

「腕を触ると怒っていたよね」「お顔の時はうっとりしてたね」
そんな思い出話をしながら触れる時間は、Nちゃんにとっても、ママにとっても、そして私にとっても、かけがえのない愛おしい時間でした。
12年経った今だから、わかること
「あの時も良さはわかっていたけれど、12年経った今だからこそ、本当の意味でタッチの良さがわかります」
ママのその言葉を聞いた時、思わず涙がこぼれました。
タッチケアは、その瞬間だけでなく、数年後、十年後の親子の絆や、
子どもの生きる力の中に、静かに、けれど力強く息づいているものになってたことを感じました。

今、目の前の赤ちゃんと向き合い、手のぬくもり、まなざしを伝えているママに
その手の温もりは、いつか必ず、お子さんの「のびやかな未来」に繋がっています。
今日も、タッチケアの後のNちゃんは、赤ちゃんの頃と同じように、すやすやと気持ちよさそうに眠りについていました。

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