― 大人と同じ構造、でも役割はちがいます ―
赤ちゃんの肌は、
つるつるで、やわらかくて、きれい。
でも実は、
大人の肌と同じように見えて、働きはまったく違います。
「どうしてこんなに乾燥しやすいの?」
「ちょっとしたことで赤くなるのはなぜ?」
そんな疑問の答えは、
赤ちゃんの皮膚が “未熟” なのではなく、“発達の途中” にある という点にあります。
赤ちゃんの皮膚も「三層構造」

赤ちゃんの皮膚も、大人と同じように
- 表皮
- 真皮
- 皮下組織
という三層構造をしています。
構造そのものは同じ。
でも違うのは、それぞれの層の成熟度と役割です。
表皮の違い①|いちばん外側がとても薄い
赤ちゃんの表皮は、大人の 約半分の厚さしかありません。
とくに、外からの刺激を防ぐ「角質層」がとても薄いのが特徴です。
そのため、
- ちょっとした刺激が伝わりやすい
- うるおいが外に逃げやすい
という状態になります。
見た目はすべすべでも、
実はとてもデリケートな肌なのです。
表皮の違い②|肌の表面がまだ組み上がっていない

赤ちゃんの角質細胞は、大人より小さく、
細胞と細胞のすき間を埋める成分(セラミドなど)も少なめです。
肌を守る壁は、
まだ「すき間の多い状態」。
そのため、
刺激や乾燥の影響を受けやすくなります。
保水の違い|うるおいを保つ力が少なめ
赤ちゃんの肌には、
水分をつなぎとめるための成分があります。
これを 天然保湿因子(NMF) といいます。
生後3ヶ月ごろの赤ちゃんでは、
この量が大人の 約半分。
そのため、
- 乾きやすい
- 一度乾くと戻りにくい
という特徴があります。
水分バランスが安定しにくい理由
赤ちゃんの角質層はとても薄く、
水分を抱え込むしくみがまだ育ち途中です。
そのため、
乾燥した空気や、服のこすれといった
日常のちょっとした刺激だけでも、
肌のうるおいが急に減ってしまうことがあります。

皮脂分泌の転換点|生後3〜4ヶ月ごろ
生まれてしばらくの赤ちゃんは、
ママのホルモンの影響で皮脂がやや多めに出ています。
しかし、生後3〜4ヶ月ごろになると
その影響がなくなり、皮脂の量がぐっと減ります。
この時期から赤ちゃんの肌は、
学童期ごろまで続く「最も乾燥しやすい状態」に入ります。

pHの違い|弱酸性のバリアが育ち途中
大人の肌は、弱酸性に保たれていますが、
赤ちゃんの肌は生まれたばかりの頃、
中性に近い状態です。
少しずつ弱酸性へ整っていきますが、
安定するのはまだこれから。
そのため赤ちゃんの肌は、
刺激を受けやすく、トラブルが起こりやすいのです。
真皮の違い|ぷにぷに、でも実は弱い
赤ちゃんの真皮には、
しなやかなコラーゲンが多く含まれています。
触ると「ぷにぷに」して心地よいですが、
弾力を支える力はまだ十分ではありません。
そのため、
- 摩擦に弱い
- ずれやすい
- 皮膚トラブルが起こりやすい
という特徴があります。
汗腺の特徴|数は多いけれど、調整が苦手
赤ちゃんは汗腺の数自体は大人とほぼ同じです。
体が小さいため、密度は高く見えます。
でも、一つ一つの汗腺の働きはまだ未熟。
体温を調整するのは、あまり得意ではありません。
神経の特徴|とても感じやすい
赤ちゃんの皮膚には、
感じ取るための神経がたくさん集まっています。
- 触られた感じ
- 温度の変化
- 服のこすれ
こうした刺激を、
赤ちゃんは大人以上に強く感じています。
一方で、
刺激を和らげたり切り替えたりする力は、まだこれから。
だから赤ちゃんは、
感じやすく、切り替えがむずかしいのです。
血管と体温|調整はまだ練習中
赤ちゃんの血管は、皮膚のすぐ近くを通っています。
そのため、
- 少し暑いだけで赤くなる
- 風に当たるとすぐ冷える
といった反応が起こりやすくなります。
体温調整もまだ未熟なため、
周りの大人のサポートが欠かせません。
赤ちゃんの肌は「弱い」のではありません
赤ちゃんの肌は、
- 守る力は育ち途中
- 感じ取る力はとても豊か
- 自分で整えることはまだむずかしい
そんな特徴を持っています。
だからこれは「弱さ」ではなく、
人の手に支えられながら育っていく過程なのです。
だから、赤ちゃんのケアで大切なこと
赤ちゃんのケアで大切なのは、
- 過剰にしない
- 刺激を減らす
- 環境を整える
- やさしく触れる
たくさんやることより、
意味のある関わりを大切にすること。
皮膚ケアは、
ただのスキンケアではなく、
発達を支える大切な関わりのひとつです。
おわりに
赤ちゃんの肌は、
大人より守る力は弱いけれど、
とてもよく感じる肌。
この「感じやすさ」は、
脳や心を育てるための大切な特性です。
だからこそ、
大人が環境とケアを整えることが、
赤ちゃんの育ちを支える土台になります。
スキンケアも、ふれあいも、
「守りながら育てる」視点で。



