― 発達の途中で起こる、自然な反応 ―

― 赤ちゃん・幼児の発達から見た、かんしゃくの正体 ―

突然泣き出す。
思い通りにならないと、激しく反応する。
声をかけても、抱っこしても、収まらない。

そんな姿を前にすると、
ママはどうしても不安になります。

「育て方が悪いのかな」
「甘やかしすぎ?」
「このまま大丈夫?」
「どう対応したらいいの?」
不安になるのは、とても自然なことです。

でもまずお伝えしたいのは、
癇癪は、親の失敗でも、子どもの問題でもない
ということ。

それは、
育ちの途中で起こる、ごく自然な反応です。


癇癪とは何が起きている状態なのか

癇癪は、わざと起こしている行動ではありません。

赤ちゃんや幼児は、
気持ちをとても大きく感じる力を持っています。

感情を感じる力は育ってきても、
それを整理したり、言葉で伝えたり、
自分で落ち着かせる力はまだ発達の途中です。

そのため、

  • 思いが通らなかった
  • 切り替えが必要になった
  • 刺激が多すぎた
  • 気持ちを処理しきれなかった

こうした場面で、感情が一気にあふれ
泣く・怒る・暴れる
という形で表に出ます。

これが、いわゆる「癇癪」です。

癇癪は
反抗でも、操作でも、甘えでもなく、
未熟な感情調整機能による反応

神経発達の視点から見ても、
とても自然な姿なのです。


癇癪は「しつけ不足」のサインではない

癇癪が起きている最中、
子どもの脳は
いわば「情動モード」。

この状態では
前頭前野(考える・理解する・学ぶ働き)は
うまく働いていません。

そのため
・説明
・説得
・注意
・言い聞かせ

これらは、ほとんど届きません。

「今は教える時ではない」
それを知っているだけでも、
親の気持ちはぐっと楽になります。


癇癪が起こりやすい時期がある

癇癪は、
✔ 自我が芽生え始める
✔ 「自分でやりたい」が強くなる
✔ 言葉が気持ちに追いつかない
✔ 切り替えがまだ難しい

そんな時期に起こりやすくなります。

これは
心と体が育っている証

発達が進んでいるからこそ
現れる姿でもあります。
成長の一部として現れていることがあります。


癇癪のときに大切なのは「止めること」ではない

癇癪のときに必要なのは、
コントロールや矯正ではありません。

必要なのは、
環境と関わりです。

  • □ 危ないものから離れている
  • □ 大人がそばにいる
  • □ ひとりにしていない
  • □ 無理に言い聞かせようとしていない

この土台が守られていれば、
癇癪は
安心の中で、必ず落ち着いていきます。

※安全確保のために
身体を支えたり、距離を取ったりすることは
「止める」のではなく守る関わりです。


癇癪は「出し切る」と落ち着いていく

泣くことは、悪いことではありません。

癇癪の最中、
子どもは
自分の中の大きな気持ちを
必死に処理しています。

無理に止めようとすると
かえって長引くこともあります。

大人がそばにいて
安全と安心が保たれていれば、
感情は
少しずつ、自然とおさまっていきます。


終わったあとは、切り替えを助けて

癇癪が落ち着いたあとは
説明はいりません。

  • 水を飲む
  • 外を見る
  • 抱っこで深呼吸
  • 次の行動に移る

「もう終わった」
そう感じられる経験の積み重ねが
次の切り替えにつながっていきます。
落ち着いてから、短く、具体的に。


ふみ先生から、ひとこと

癇癪は、
親の失敗でも、
子どもの問題行動でもありません。

それは、
感情を育てている途中に起こる、
とても人間らしい反応です。

止められなくていい。
完璧に対応しなくていい。

安全と安心が守られていれば、それで十分。
育ちは、ちゃんと進んでいますよ。

癇癪期の最低限対応リスト

― これだけ守れたら、今日は合格 ―

癇癪が始まると、
「どう対応したらいいんだろう」
「止めなきゃいけないのかな」
そんなふうに、頭がいっぱいになりますよね。

でも、癇癪のときに
全部うまくやる必要はありません。

今日はこれだけ守れたらOK、
という最低限のラインを置いてみてください。

まずいちばん大切なのは、安全です。
頭をぶつけないか、
危ないものが近くにないか、
誰かがケガをしそうじゃないか。
ここが守れていれば、いちばん大切なことはできています。

次に、ひとりにしていないこと。
声をかけられなくてもいい。
抱っこできなくてもいい。
そばにいる、視界に入っている。
それだけで「ひとりじゃない」は伝わります。

癇癪中は、理由を聞かなくて大丈夫。
「なんで?」「どうしたの?」
その答えを、本人もまだ持っていません。

同じく、教えようとしなくていい。
ダメな理由も、正しい行動も、
今は脳が受け取れる状態ではありません。
今は「学ぶ時間」じゃないだけ。

言葉は、減らすほど伝わります。
「そっか」
「いやだったね」
「ここにいるよ」
長い説明はいりません。

癇癪がおさまったあとも、
蒸し返さなくて大丈夫。
説教もしない。
何度も思い出させない。
お水を飲む、外を見る、次の行動へ。
切り替えを助けることが、次につながります。

そして最後に、
ママ自身を守れているか。
深呼吸をひとつ。
「今はそういう時期」と心の中で言えた。
完璧を手放せた。
それだけで十分です。

癇癪は、
止めるものでも、直すものでもありません。
安心の中で通り過ぎていくものです。

安全と安心が守られていれば、
今日の育児は合格。

全部できなくていい。
ひとつでもできたら、それでいい。

しんどいときに、
またここに戻ってきてくださいね。

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