電車で泣く赤ちゃんにスマホを渡してしまうときに知っておきたいこと

電車の中で、赤ちゃんがなかなか泣き止まない。
抱っこしても、おっぱいをあげても、おもちゃを出してみてもダメ。
周りの視線が一気に集まってくるように感じて、
- 「早く静かにさせなきゃ」
- 「周りの人に迷惑そう…」
- 「もうスマホしかない…」
そんな思いで、思わずスマホを取り出してしまうこと、ありませんか?
あの瞬間、頭の中はいろんな声でいっぱいになります。
でもそれは、あなたが弱いからでも、育児が下手だからでもありません。
あの場面は、誰でも追い込まれてしまう場面。
がんばっているからこそ、どうにかしようとしてスマホに手が伸びるのです。
なぜスマホで泣き止むの?──赤ちゃんの「定位反応」という本能
「スマホを見せたらピタッと泣き止んでしまった。
こんなに効いてしまって大丈夫なのかな?」
そんな不安を感じたことがある方も多いと思います。
実は、赤ちゃんには
新しい刺激に注意を向ける「定位反応」 という本能があります。
スマホの画面には、赤ちゃんの注意を引きつける条件がぎゅっと詰まっています。
- 明るい 光
- 次々と切り替わる 動き
- 音楽や効果音などの 音
この3つが一度にやってくるので、赤ちゃんの脳は
「なんだろう?」「見なきゃ!」
と、ぐっと引きつけられます。
だから、スマホで泣き止むのにはちゃんとした理由がある のです。
つまり、
スマホが効いてしまうのは、赤ちゃんの本能の働き。
ここを知っているだけでも、「そんな自分がイヤ」と自分を責める気持ちが、少し和らぐかもしれません。
でも、少し気をつけたい理由もあります
「効く」からこそ、つい頼りたくなるスマホ。
一方で、使い方には少しだけ気をつけたいポイントもあります。
1. 「泣く」は赤ちゃんの大切なコミュニケーション
赤ちゃんはまだ言葉を持っていません。
だからこそ、泣くことで気持ちを伝える しかありません。
・暑い
・寒い
・お腹が空いた
・眠い
・さみしい
どんな気持ちも、まずは「泣き」として表現されます。
不快 → 泣く → 応えてもらう → 安心する
この一連の流れを何度も経験することで、
- 「泣いたらわかってもらえる」
- 「私は守られている」
という感覚が、赤ちゃんの中に少しずつ育っていきます。
ここが、心の土台づくりのとても大事なところです。
もし毎回すぐにスマホで気持ちをそらしてしまうと、
「分かってもらえた」「安心した」という経験が少なくなってしまうことがあります。
もちろん「一度でもスマホを使ったらダメ」という話ではありません。
大切なのは、泣きに応えてもらう経験も、ちゃんと残してあげることです。
2. 一方通行の刺激になりやすい
スマホの動画は、赤ちゃんの反応とは関係なく、
ただただ一方的に流れ続けます。
でも本来、赤ちゃんは
誰かとのやり取り(相互作用)の中で
表情やことば、感情を学んでいく存在
です。
- ママやパパの表情
- 声のトーン
- 抱っこやタッチのぬくもり
こうした双方向の経験が、心とことばの育ちを支えてくれます。
「見せっぱなし」が長く続くと、どうしてもこのやり取りの時間が不足しがちになります。
だからこそ、
「動画そのもの」よりも
「動画とどう付き合うか」が大事
と言えるのです。
3. 目の発達と睡眠リズムへの影響
乳幼児期は、視力や立体視、ピント調節など、
目の機能が急速に発達する大切な時期です。
小さな画面を、近い距離でじっと見続けることは、
近視や目の疲労との関連が指摘されています。
また、スマホの光には ブルーライト が多く含まれています。
この光は、眠りを促すホルモン「メラトニン」の分泌を抑えてしまうと言われています。
そのため、夜遅い時間のスマホ使用は、
- 寝つきの悪さ
- 夜中に何度も起きる
- 朝起きにくい
といった睡眠リズムの乱れにつながることもあります。
「だから絶対にダメ!」と追い詰めるための情報ではなく、
時間帯や距離、見せ方に少し気をつけてみよう
くらいの気持ちで捉えてもらえたら十分です。
親を追い込んでいるのは「社会のまなざし」でもある
電車で赤ちゃんが泣き始めたとき、
本当に苦しいのは、赤ちゃんの泣き声そのものよりも、
周りの冷たい視線やため息 だったりしませんか?
核家族化が進み、「赤ちゃんと関わる経験」が少ない人も増えました。
かつては当たり前だった
「子どもは泣くものだよね」
という感覚が、社会全体で薄れてきています。
昔なら、近くのおばあちゃんが
- 「大丈夫よ、泣いてていいのよ」と声をかけてくれる
- あやしてくれる
- ベビーカーをそっと押さえてくれる
そんな場面もありました。
今は「孤立した育児」の中で、
親だけががんばり続けている状況になりがちです。
そんな環境で、スマホに頼りたくなるのは、
決しておかしなことではありません。
むしろ、どうにかしようと必死にがんばっている証拠です。
スマホの前に試せる「ちいさな工夫」たち
とはいえ、スマホ以外の選択肢をいくつか持っておけると、
親の気持ちも少し楽になります。
ここでは、電車に乗る前・乗っているとき にできる工夫をまとめてみます。
事前の準備
- なるべく 授乳・おむつ替え を済ませてから乗る
- できる限り、眠くなりすぎない時間帯 を選ぶ
- 電車でだけ登場する 「秘密のおもちゃ」 を1つ用意しておく
(いつもと違う新鮮さが、赤ちゃんの興味を引きます)
「これは電車のときだけのお楽しみだよ」と
特別感を持たせておくのもおすすめです。
電車の中でできること
- 抱っこの向きや高さを変えてみる
- 窓の外や車内の様子を見せながら、静かに話しかける
- お気に入りのガーゼや布おもちゃを触らせる
- 貼ってはがせるシールブックなど、指先を使う遊び を取り入れる
指先を使った遊びや、
触り心地のよいものに触れる体験には、
気持ちを落ち着かせる効果 があります。

「まずはこれを試してみて、
それでもダメならスマホ」
こんなふうに、自分の中で段階を決めておけると、
「いきなり最終手段に飛びついてしまった…」という後悔も減っていきます。
おうちでのスマホとの付き合い方
日常生活の中でも、スマホとうまく付き合うためのヒントを少しだけ。
- 動画を つけっぱなしにしない
- できるだけ 一緒に見て、話しかける
- 画面との距離は 30cm以上 あける
- 夕方(18時頃)以降は、できる範囲で使用時間を減らす
(この時間帯から、眠りを促すホルモンが増え始めます)
同じ「30分の動画」でも、
親子でくっついて一緒に見て、
時々コメントし合う時間
は、赤ちゃんにとって大切なコミュニケーションの時間になります。
「ただ見ているだけ」の時間を、
親子の触れ合いタイムに変えてしまうイメージです。

周りの大人にできること
──「子どもは泣くもの」を社会の合言葉に
もしあなたが、電車で泣いている赤ちゃんと、
困り顔のママ・パパを見かけたら…。
そのときにできる小さな優しさがあります。
- 責めるような視線を向けない
- 目が合ったときに 「大丈夫ですよ」の微笑み を返す
- 席を譲る、ベビーカーをおさえるなど、できる範囲で手を貸す
ほんの少しの仕草で、親御さんの心はふっと軽くなります。
「子どもは泣くもの」
この認識を社会全体で共有していくことが、
親の孤立を防ぐ大きな力 になります。

いちばん大切なのは「使った自分を責めないこと」
ここまでいろいろお話ししてきましたが、
私が何より伝えたいのはこの一言です。
「スマホを使ってしまった自分を、どうか責めないで」
完璧な育児をしている人なんて、どこにもいません。
その場その場で、
- 赤ちゃんのために
- 周りの人のために
- 自分の心を守るために
一生懸命ベストを尽くしているだけで、もう十分すごいことです。
スマホは「敵」ではなく、
ときにあなたの育児を助けてくれる 道具のひとつ です。
使う・使わないの白黒ではなく、
あなたと赤ちゃんにとって心地よいバランス を
少しずつ見つけていけたら、それで十分。
おわりに
電車でのドキドキする時間や、
「またスマホに頼ってしまった…」と落ち込んでしまう夜。
そんなときに、
この記事がふっと心をゆるめる
小さなお守り になってくれたら嬉しいです。
今日も一日、赤ちゃんと一緒に過ごしたあなたへ。
本当に、よくがんばっています。


