~石ころ一つから学ぶ、しなやかに生きる力~
先日、赤ちゃん学会に参加してきました。
さまざまな研究発表を聞きながら、ふと昔のことを思い出しました。
それは、息子が小さかった頃のことです。
ある日、息子の友達がこんなことを言いました。
「おばちゃん、あんなー〇〇は石ころ一つあれば一日遊べるねん。遊びの天才や。」
私は思わず笑ってしまいました。
でもその言葉は、今も心に残っています。
子どもというのは不思議なもので、大人にはただの石ころに見えるものから、いくつもの遊びを生み出します。
息子も、そんな子どもの一人でした。
一人でも遊ぶ。
友達が増えれば、その石ころを使って新しい遊びが始まる。
宝物探しになったり、音当てクイズになったり、的当てになったり、石ころ積みになったり、水に入れてみたり、お金になったり。
同じ石ころなのに、その使い方は何通りもありました。
学会で出会った研究者たち
赤ちゃん学会で研究発表を聞いていると、
研究者の方々が口にする言葉があります。
「なんでだろう?」
「本当にそうなのかな?」
「別の見方はできないかな?」
「もっといいものはできないのかな?」
「こんなものがあったらいいのにな」
研究というと難しく聞こえますが、
その始まりはとてもシンプルです。
一つの答えに満足せず、
別の可能性を探してみる。
うまく説明できないことがあれば、
別の角度から考えてみる。
私はその姿を見ながら、
子どもの遊びに似ているなと思いました。
レジリエンスとは何だろう
最近よく耳にする言葉に、
「レジリエンス」があります。
レジリエンスとは、
困難な出来事や失敗があった時に、
立ち直ったり、
乗り越えたりする力のことです。
「折れない心」
と表現されることもありますが、
私は少し違うように感じています。
強くて折れないことよりも、
しなやかであること。
風が吹けばしなる。
倒れてもまた起き上がる。
うまくいかなければ別の方法を考える。
そんな力がレジリエンスなのではないかと思うのです。
子どもたちは毎日レジリエンスを育てている
赤ちゃんは何度転んでも立ち上がろうとします。
おもちゃが届かなければ、
体を伸ばしてみます。
それでも届かなければ、
寝返りをします。
ずりばいをします。
はいはいをします。
歩けるようになっても、
何度も転びます。
でも、
「もうやめよう」
とはなかなか言いません。
また挑戦します。
また試します。
子どもの遊びも同じです。
思った通りにならない。
失敗する。
壊れる。
負ける。
でも、
そこで終わらない。
「じゃあ次はどうしよう」
と考える。
実は遊びの中には、
レジリエンスを育てる体験がたくさん詰まっているのです。
石ころ一つが教えてくれたこと
石ころ一つを見た時、
大人は「ただの石」と思うかもしれません。
でも子どもは違います。
別の見方をします。
別の使い方を考えます。
別の遊び方を見つけます。
そこには、
一つの答えに縛られない柔軟さがあります。
人生も同じかもしれません。
思い通りにいかない時、
目標にたどり着く道は一つではありません。
遠回りしてもいい。
別の道を探してもいい。
誰かに助けてもらってもいい。
その柔軟さが、
生きる上での大きな力になります。
親や支援者にできること
私たちはつい、
子どもが失敗しないように先回りしたくなります。
効率の良い方法を教えたくなります。
でも、
レジリエンスは成功体験だけでは育ちません。
失敗すること。
思い通りにならないこと。
困ること。
迷うこと。
そんな体験もまた大切です。
もちろん、
一人では乗り越えられない時もあります。
だからこそ、
大人がそばにいる。
見守る。
応援する。
必要な時に手を差し伸べる。
そうやって子どもは、
「困っても大丈夫」
という感覚を育てていきます。
おわりに
学会で研究者の方々の姿を見ながら、
石ころ一つで遊んでいた息子の姿を思い出しました。
研究者も子どもも、
うまくいかなかった時に別の方法を考えます。
新しい可能性を探します。
それはきっと、
人生をしなやかに生きる力につながっているのでしょう。
遊びはただの暇つぶしではありません。
遊びの中で子どもたちは、
考え、
試し、
失敗し、
立ち上がり、
また挑戦しています。
その積み重ねが、
未来を生きるレジリエンスを育てているのだと思うのです。


