〜イヤイヤも、ぶつかりも、『ずれながら育つ力』〜

子育てをしていると、

「ちゃんと応えられているかな」

「泣いたらすぐ対応しなきゃ」

「イヤイヤ期にうまく関われていないかも」

そんな不安を感じることがあります。

でも私は、赤ちゃんや親子を見ている中で、

発達とは「ぴったり合うこと」ではなく、

「ずれながら育つこと」

なのではないかと思っています。


リズムの中で育つ赤ちゃん

赤ちゃんは生まれた瞬間から、人とのリズムの中で育っています。

抱っこの揺れ。

授乳の時間。

声の抑揚。

笑顔のやり取り。

目と目が合う時間。

赤ちゃんは、そうした繰り返しの中で

「この世界は安心できる場所なんだ」

という感覚を育てていきます。


安心感とは、いつも思い通りになることではない

安心感というと、

泣いたらすぐ抱っこ。

欲しい時にすぐ応えてもらう。

そんなイメージを持つかもしれません。

もちろんそれも大切です。

でも実際の子育てはそう単純ではありません。

お母さんがトイレに行っている時もあります。

上の子のお世話をしている時もあります。

すぐに抱っこできないこともあります。

それでも、

最終的には誰かが来てくれる。

またつながることができる。

その経験の積み重ねが、

赤ちゃんの中に安心感を育てていきます。


子どもの波を待つということ

私たち大人は、

つい教えたくなります。

つい手伝いたくなります。

つい先回りしたくなります。

でも子どもには、その子自身のタイミングがあります。

興味を持つタイミング。

動き出すタイミング。

挑戦したくなるタイミング。

その波が来るのを待ちながら、

必要な時にそっと関わる。

そんな関わりが、子どもの主体性を育てていきます。


イヤイヤ期は発達の問題ではなく発達そのもの

一歳半頃から始まるイヤイヤ期。

親にとっては大変な時期です。

でも見方を変えると、

それは子どもが自分自身のリズムを持ち始めた証拠でもあります。

「自分でやりたい」

「まだ遊びたい」

「私はこうしたい」

という気持ちが育ってきたからこそ起こる姿です。

親のリズムと子どものリズムが違うからぶつかる。

それは決して悪いことではありません。

むしろ大切な育ちの過程です。


ぶつからないことより、戻れること

良い親子関係というと、

ケンカをしない関係を想像するかもしれません。

でも実際には、

親子は何度もずれます。

何度もぶつかります。

怒る日もあります。

泣く日もあります。

大切なのは、

ずれないことではなく、

ぶつからないことではなく、

そのあとにまたつながれることです。

「さっきは怒りすぎたね」

「悲しかったね」

「大好きだよ」

そんな修復の経験が、

子どもの安心感を育てていきます。


遊びの中にもある「ずれ」

いないいないばあ。

くすぐり遊び。

手遊び歌。

赤ちゃんが大好きな遊びには、

実は小さな「ずれ」がたくさんあります。

予想通りだけど少し違う。

待っていたら少し遅れる。

いつもと少し変わる。

だから面白い。

だから笑う。

だから学ぶ。

発達は、

予測できる安心感と、

予測できない面白さの両方の中で育っていくのです。


「ずれながら戻る力」を育てること

赤ちゃんは親と同じ人になるために育つのではありません。

自分自身のリズムを持ちながら、

人とつながる力を育てていきます。

だから、

ずれても大丈夫。

ぶつかっても大丈夫。

大切なのは、

また戻ってこられること。

またつながれること。

子どもの育ちとは、

そんな「ずれながら戻る力」を少しずつ育てていく過程なのだと思います。

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