上唇が動きにくいときのやさしい関わり方

離乳食を始めた赤ちゃんの中には、
「上唇がうまく下がらない」「食べ物を取り込みにくそう」
と感じることがあります。

特に、口唇裂の手術を受けたお子さんでは、
鼻の下や上唇の傷あと(瘢痕 はんこん)が少し硬くなり、動きにくさにつながることがあります。

この記事では、そうした場面で保護者の方ができる
やさしい触れ方(タッチケア)について、わかりやすくご紹介します。


なぜ上唇が動きにくくなるの?

手術のあと、皮膚やその下の組織は回復していく過程で
少し硬くなることがあります(これを「瘢痕」といいます)。

この硬さによって、

  • 上唇が下に降りにくい
  • スプーンから食べ物を取り込みにくい
    といった様子が見られることがあります。

やさしいタッチで「動きやすさ」を育てる

毎日の中で、少しずつ触れていくことで
皮膚やその下の動きがなめらかになることが期待できます。

ポイントは「やさしく・少しずつ・無理なく」です。

【重要】始める前の大切な前提(必ずお読みください)

始める前に、必ず確認したいことがあります。

👉 手術の傷がしっかり回復しているかを主治医に確認すること

  • いつから触ってよいか
  • 強さや範囲

について、医師の許可を得てから行いましょう。


実際の関わり方ステップ

① まずは「触れること」に慣れる

鼻の下や上唇に、親の指をそっと当てます。

  • 押さえつけない
  • 短い時間からスタート
  • 赤ちゃんが嫌がらない範囲で

👉「触られることが心地よい」と感じることが最初のステップです。


② 小さく横に動かす

慣れてきたら、指を軽く当てたまま
ほんの少し横に動かします

  • 皮膚をこするのではなく
  • 「少しずらす」ようなイメージ

👉皮膚とその下の組織の「滑り」を助けます。


③ ゆっくり下方向へ

さらに慣れてきたら、
上唇をやさしく下に誘導するように動かします

👉上唇が下がる動きをサポートします。




この関わりで期待できること

こうしたタッチを続けることで、

  • 皮膚が少しずつ柔らかくなる
  • つっぱり感がやわらぐ
  • 上唇の動きが出やすくなる
  • 食べる動きのサポートになる

といった変化が期待されます。

💡 今日からできる工夫

スプーンで離乳食をあげるときは、スプーンを上(山なり)に引き抜くのではなく、

赤ちゃんの「下唇」にスプーンを乗せ、上唇が降りてくるのをじっと待ってから、

水平にまっすぐ引き抜くようにすると、赤ちゃんが食べ物を取り込みやすくなります。


注意したいサイン

以下のような様子があれば、いったん中止して手術を行った主治医(病院の形成外科など)へ相談・受診しましょう。

  • 強く嫌がる
  • 赤みが続く
  • 腫れや痛みが出る

    少しでも不安なことや、やり方に迷う場合は、病院の主治医だけでなく、言語聴覚士(ST)や離乳食外来、地域の保健師さんなどにもお気軽にご相談ください

まとめ

口唇裂術後の赤ちゃんにとって、
上唇の動きは「食べること」に大きく関わります。

特別な訓練ではなく、
日常の中でのやさしいタッチの積み重ねが、

👉「動きやすさ」
👉「食べやすさ」

につながっていきます。

あせらず、赤ちゃんのペースに合わせながら、
心地よい関わりを続けていきましょう。