身体の「頑張り」から考えてみる
抱っこすると、背中をぐーっと反らす。
足をピーンとつっぱる。
横抱きにすると嫌がって、縦抱きのほうが落ち着いている。
そんな赤ちゃんを見て、
「どうしてこんなに反り返るんだろう」
と心配になることがあります。
「丸く抱っこするといいですよ」
と言われても、
丸く抱っこしようとしても、丸くならない。
そんな赤ちゃんもいるんです。
反り返る身体を見たとき、
「どうしたら反り返らなくなる?」
と考える前に、
この赤ちゃんは、どうしてこんなに身体に力を入れているんだろう?
そんなところから見てみたいと思います。
いつも頑張っているように見える赤ちゃん
背中を反らして、
足もピーンとつっぱっている。
なんだか、いつも身体に力を入れて頑張っているように見える赤ちゃんがいます。
「丸い抱っこがいい」と言われても丸くならない。
「横抱きがいい」と言われても横抱きにすると嫌がる。
むしろ、縦抱きで顎を上げているほうが、その赤ちゃんには楽そうに見えることさえあります。

そんな姿を見ると、
「抱き方が悪かったのかな」
「縦抱きをしていたからかな」
と考えてしまうかもしれません。
でも、赤ちゃんの身体の使い方は、抱き方だけで決まるものではありません。
赤ちゃんがその姿勢を選んでいるのには、その子なりの理由があるのかもしれません。
まずは、その身体を「直すもの」として見るのではなく、
「どうして、この姿勢がこの子には必要なのかな?」
と見てみます。
なぜ反り返るのでしょう?

「なぜ反り返りになるのかな?」
身体に力を入れて、
頑張らないといけないことがあったのかもしれません。
ただ、反り返りにはいろいろな要因が関わります。
「これがあったから反り返るようになった」と、一つの原因だけで説明できるものではありません。
眠い。
お腹がすいた。
刺激をたくさん受けた。
不快なことがある。
そんなときにも、一時的に身体を反らすことがあります。
一方で、
抱っこしていてもいつも身体がかたい。
足をつっぱることが多い。
大人の身体に預けることが少ない。
そんな赤ちゃんもいます。
そんなとき私は、反り返りだけを見るのではなく、
その子が普段、どんなふうに身体を使っているのか
を一緒に見ていきます。
赤ちゃんにも、それぞれの「これまで」があります

小さく生まれた赤ちゃん。
少し早く生まれた赤ちゃん。
生まれてすぐから入院が必要で、処置や検査をたくさん経験した赤ちゃん。
赤ちゃんが生まれてから経験してきたことは、一人ひとり違います。
もちろん、
「早く生まれたから反り返る」
「入院したから身体がかたくなる」
と単純に結びつけることはできません。
でも、今見えている姿勢だけではなく、
「この子はこれまで、どんな身体の経験をしてきたのかな」
という視点も持っていたいと思っています。
ママやパパの抱っこが悪いわけでもありません

赤ちゃんが反り返る。
抱っこすると泣く。
なかなか身体を預けてくれない。
そんな日が続くと、
「私の抱っこが下手なのかな」
と思ってしまうことがあります。
でも、ママの身体も産後の回復途中です。
初めての育児なら、抱っこに慣れていないのも自然なことです。
そして、赤ちゃんが反ると、
「落とさないように」
と、大人の腕や肩にも力が入ります。
すると、赤ちゃんもさらに身体に力を入れることがあります。
だから、
「ママの抱き方が悪い」
と考えるよりも、
二人とも、もう少し楽になれる方法はないかな
と探していけたらと思います。
生まれる前からの身体の経験もあります

反り返りについて考えるとき、
生まれてからのことだけではなく、
お腹の中にいたとき、赤ちゃんがどんな姿勢で過ごしていたのか
という視点を持つこともあります。
妊娠後期になると、赤ちゃんは子宮の中で顎を引いたり、手を口に持っていったり、指しゃぶりをしたり、子宮の壁を蹴ったりしながら過ごしています。
身体全体は、子宮の中で自然と丸みのある姿勢になります。
ただし、赤ちゃんの大きさや向き、子宮の中の環境などによって、その経験は一人ひとり違います。
だから、
「お腹の中で丸い姿勢になれていなかったから反り返る」
と一つの原因として決めることはできません。
でも、
出生前から、その子にはその子なりの身体の経験がある
ということは、赤ちゃんを見るときの一つの視点になります。
生まれてくることも、赤ちゃんにとって大きな出来事

お腹の中から、外の世界へ。
呼吸を始めて、
重力のある世界で、自分の身体を使い始めます。
赤ちゃんにとって、生まれてくることは大きな変化です。
Instagramの投稿では、
「生まれてくるときに頑張らないといけない状況だったのかもしれません」
「そのときの頑張りが、まだまだ続いているのかもしれません」
と書きました。
これは、
出生時の出来事が、そのまま現在の反り返りの原因になる、
という意味ではありません。
そうではなくて、
今、目の前にある身体を
「困った身体」
「直さなければいけない身体」
として見るだけではなく、
「この子、これまでいろいろ頑張ってきたのかもしれないな」
という目でも見てみる。
私は、そんな意味を込めています。
反り返り以外の姿も、一緒に見てみます
反り返りが気になるとき、
私は「反り返っているか、いないか」だけを見ません。
たとえば、
- おっぱいや哺乳瓶の吸いつきはどうかな
- いつも同じ方向ばかり向いていないかな
- 泣くときはどんな泣き方かな
- 床に寝るのを嫌がらないかな
- 立たせようとすると、足をピーンとつっぱらないかな
- 便秘がちではないかな
そんな普段の姿も一緒に見ていきます。
ここで大切なのは、
これらがあるから「問題」ということではありません。
いくつかの様子を合わせて見ることで、
この赤ちゃんが普段、身体をどんなふうに使っているのかを知るヒントになる
ということです。
反り返りが気になる赤ちゃんに、できること

反り返っている赤ちゃんを見ると、
つい、
「丸くしよう」
「力を抜かせよう」
としたくなるかもしれません。
でも、まず赤ちゃんをどうにかする前に、
抱っこする大人の身体から、少しゆるめてみます。
自分のお腹に手を置いてみてください。
その手が膨らんだり、へこんだりするのを感じながら、
ゆっくり息を吸って、
ゆっくり吐きます。
肩は上がっていないかな。
腕や手に力が入りすぎていないかな。
少しだけ、自分の身体にも目を向けてみます。
それから、
赤ちゃんのお腹や胸を、手のひら全体で包むように触れてみます。
背中は、上から下へゆっくりとなでてみます。
何かを「直す」ためのタッチではありません。
赤ちゃんが、自分の身体を感じやすくなるように触れていきます。
「正しい抱っこ」に赤ちゃんを合わせなくてもいい
丸い抱っこがよいと知ると、
どうしても、
「丸くしなくちゃ」
と思います。
でも、身体を反らせている赤ちゃんを、無理に丸めればいいわけではありません。
抱っこの形だけではなく、
赤ちゃんの呼吸はどうかな。
表情はどうかな。
身体を少し預けてくれたかな。
握っていた手が少しゆるんできたかな。
そんなところを見てみてください。
その子にとって、
「さっきより、ちょっと楽そう」
が見つかれば、それも大切な変化です。
反り返りを「なくす」ことだけを目標にしない
赤ちゃんの発達は、
大人が正しい姿勢を作ってあげれば進んでいく、
というものではありません。
赤ちゃん自身が、
見る。
触る。
手を伸ばす。
足を動かす。
身体をひねる。
そんな経験を繰り返しながら、
自分の身体の使い方を少しずつ見つけていきます。
だから私は、
大人が赤ちゃんを動かしてあげることだけではなく、
赤ちゃん自身が「動いてみよう」と思える身体や環境をつくること
も大切にしています。
「どうしたら直る?」から「どうしたら楽?」へ
反り返っている赤ちゃんを前にすると、
「どうしたら治りますか?」
「どうしたら丸くなりますか?」
と聞きたくなることがあります。
そんなとき、
少しだけ問いを変えてみます。
「この子は、どうしたらもう少し楽かな?」
この抱き方なら、少し呼吸がゆっくりになる。
ここに触れると、身体を預けてくれる。
今日は足の力が少し抜けていた。
昨日より、床で気持ちよさそうに過ごしていた。
そんな小さな変化を見つけていきます。
赤ちゃんの身体は、毎日少しずつ育っています。
抱っこするママやパパも、
赤ちゃんと一緒に少しずつ、その子の抱っこを覚えていきます。
うまくできない日があってもいい。
「この子、今はどうしたら楽かな」
そんなふうに見てもらえたらと思います。
心配なときは相談してください
反り返りだけを見て、赤ちゃんの発達を判断することはできません。
ただ、
反り返りや身体のつっぱりがとても強い、
身体の左右差が大きい、
いつも極端に身体がかたい、
反対に力が入りにくい、
飲みにくさが続いている、
体重の増え方が気になる、
苦しそうな様子がある、
など、気になることがあれば、乳幼児健診や小児科などで相談してください。
「こんなことで相談してもいいのかな」
と思うようなことでも大丈夫です。
赤ちゃんの身体は、一人ひとり違います。
だからこそ、
「できている・できていない」ではなく、
「この子は今、どう感じているのかな」
そんなふうに、一緒に身体を見ていけたらと思います。


